本日は スーツの中でも細かいポイント、袖ボタンについてのお話を

おひとつご紹介いたします。

普段は特に意識される方は少ないかも知れませんが、スーツの

袖ボタンには 数(2つ、3つ、4つ)や形状(普通に並んだものからくっついた

ものまで)等色々ありますが、通常袖ボタンを実際にはめ外しすることは

ほとんどありませんよね。

袖のボタンには由来がございます。

なんと、スーツの袖ボタンを最初につけたのは かのフランス皇帝、

ナポレオンと言われているのです。

しかもおしゃれではなく、違う目的でした。

それは、フランス軍がロシア侵略を図る際に厳寒の山中を越える途中。

軍隊の人々はあまりの寒さに流れ落ちる鼻水をジャケットの袖で

拭き拭き進んでいたそうです。皆の袖は鼻水だらけ･･･。

この状況を見たナポレオンは、その弱々しい隊員達の様子から

相手に「これなら勝てる！」と思わせてしまうのを避けるためなのか、

隊員たちが袖で鼻水を拭けないようボタンをつけた、という

説があるのです。

だとしたら袖ボタンが外せない、飾りのようなものであることにも

納得ですね。

しかし実用的に袖ボタンを外せるパターンもございます。

スーツの袖が袖ボタンによって開閉できる仕様を「本切羽仕立て」

と言います。

別名「ドクタースタイル」とも呼ばれ、その昔ヨーロッパでお医者さんが

患者さんを治療する際にジャケットを着たまま袖先を緩めてまくり上げ、

対処していたことに由来すると言われています。

(写真左側の袖ボタン仕様が本切羽仕立てです)

現在では実務のためにボタンを外すのではなく、

あえておしゃれ目的でボタンを1つ2つ外し、袖口からシャツのカフスを覗かせるという上級の着こなしもありますし、他の方があまり知らないディテールにさりげなくこだわりを持たせるのもまた、大人のたしなみですよね★

 

テーラー神谷ではこの仕様を「本開き」というオプションで

￥2,500にて承っております。

ぜひスーツをお仕立ての際にはお試し下さいませ♪