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連載第七回! アルマーニ氏のスーツの秘密に迫ります!
2009年6月 9日 10:00
弊社、神谷昭一郎専務が筆を取る、中部経済新聞のコラムも第7回を迎えました。
今回はファッション界の巨匠、アルマーニ氏。
確固たるブランドイメージがあり、ファンも多いアルマーニスタイルを、テーラーの目線で読み解きます!
今回は世界で最も有名なデザイナーの一人であり、ブランド名でもある「ジョルジオ・アルマーニ」のスーツに注目してみたいと思います。
専門書が出版されているばかりか、映画にまでなっている彼のスーツに関してこのスペースで語るのは乱暴というものかもしれません。
しかし、どうしてアルマーニのスーツがこんなに広く知られ、世界中で愛されるようになったのか?そのスーツの特徴を、簡単にではありますがピックアップしてみましょう。
彼のスーツは、基本的に肩パットや芯地を除いた“ソフトスーツ”です。
日本ではアンコンジャケットとも呼ばれています。
ゆったりとしたシルエットがトレンドとなった80年代に、付属品を取り除いたジャケットは、その洗練された型紙のラインから美しいドレープ感を持ち、多くの人々を魅了したのです。
それまでスーツは男性らしさの象徴でした。
肩パットを入れることにより左右対称でかっちりした肩線になり、芯地を生地に据えることで胸のラインを強調します。そういった「スーツは固いもの」という概念を覆したのがアルマーニのスーツなのです。
ただ、多くの方に勘違いされている部分もあります。
アルマーニのスーツというとだぶだぶしている、オーバーサイズの服といったイメージがあります。
しかしそれはどちらかといえば日本を代表するギャルソンやヨウジ・ヤマモトに見られるものであり、アルマーニのスーツはあくまで構築的なスーツ本来の型をベースに作られているということです。
そういった意味ではクラシックな服の一つであると言っても過言ではないと私は考えます。
付属物を廃し、軽やかで機能的な服、その良さを最大限に活かす為に考えられたデザイン。
そのジャケットは誰にでも着られることから「魔法の型紙」「ジャケットの帝王」といった称号をアルマーニは冠するようになります。
サヴィルロウの仕立てに代表される本来の伝統的なスーツと、アルマーニのような着易い軽やかな服。
どちらが優れているというのではなく、着る人のスーツに対する目的の違いで使い分けるべきものです。
人前でスピーチをする時や重要なビジネスシーンで必要になるのはしっかりしたサヴィルロウのスーツでしょう。
あなたに威厳と上品さを持たせ、信頼感のある印象を与えるに違いありません。
一方、リラックスした雰囲気を醸し出せるのはアルマーニに代表されるソフトスーツ。
パーティシーンをはじめとするオシャレ感や軽やかさが必要な時に大活躍するでしょう。
あなたの立ち振る舞いに優雅さを添えてくれます。
最後に彼の考え方にも触れておきたいと思います。
彼の経歴は百貨店のバイヤーからスタートしており、そのスーツ作りは世の中のニーズを常に汲み取ったものとなっています。ゆったりとしたイメージが強いですが、最近はタイトなシルエットに移行しています。
世界的な大ヒットを生み出した「巨匠の中の巨匠」と彼が呼ばれるようになったのも世の中の動きに常に対応し続けたからに他ならないのです。
そんな彼の柔軟な考えを表す語録の一つを紹介し、第7回を締めくくりたいと思います。
「これはこういうファッションだから、こういう風に着なくてはいけない。そんな時代が終わったということです」
伝統をベースにおきながらも、柔軟で革新的な行動を起こした時に、次の伝統が生まれるのかも知れません。
<中部経済新聞 2009年6月6日掲載>
新聞掲載の様子はホームページでご覧いただけます
随時更新してまいりますので、よろしければご覧下さい!
アル・パチーノの着こなし・・・連載6回目です!
2009年5月23日 10:00
皆様より、「読んだよ!」のお声をいただくことも多くなってまいりました、このコラムも6回目。
中部経済新聞に、隔週土曜日に掲載いただいております!
全12回を予定しているこの連載も、今回で折り返し地点を迎えます。
そんな今回は、私も大好きな俳優「アル・パチーノ」のスーツスタイルを取り上げたいと思います。
様々な映画のなかで、様々なスーツを着こなしている彼ですが、もっとも印象が強く知名度が高いのは、なんといっても「ゴッドファーザー」でしょう。
アル・パチーノ演ずるマイケルがマフィアのドンになっていく過程で、彼のスーツスタイルは変化していきます。
アル・パチーノの身長は167cmと小柄な為、日本人にとっては彼の着こなしがとても参考になります。
アル・パチーノが“好青年”と“冷酷なリーダー”を、どのようなスーツスタイルの使い分けで表現をしていたのか?
今回の記事はそこに注目し、スーツスタイルのアイテム使いや、そのシルエットを比較してみましょう。
マフィアファミリーで唯一人、堅気の青年として、知的な雰囲気を漂わせる兵役後の英雄という役どころ「マイケル・コルレオーネ」で登場する彼は、紺のブレザーにレジメンタル・タイを着ています。
つまりアイビーの香りを放つアメリカントラッドのファッションです。
(もちろん時代背景が大戦後のニューヨークということも強く関係しています)
紺を基調としたスーツは誠実さを表現します。
彼のやや陰のある演技とあいまって、インテリ男の雰囲気を醸し出しています。
多くの政財界の方々がネイビースーツを好まれるのにはそれなりのワケがあるのです。
映画のシーンは進み、アル・パチーノは家族の仇を討ち、逃亡した後に帰国します。
帰国後の彼の装いは一変。
光沢感のあるブラックやダークグレーのスーツ、ダブルブレストが多くなり、ネクタイもグレーやブラックを基調としたコーディネイトになります。
スーツのラペルは大きくカーブし、その巾は広くなっています。肩巾、胸周りはかなりゆとりのあるラインで、ウエストにかけて自然なドレープが出ています。
(このゆったりしたドレープのスーツに関しては次回、アルマーニのスーツスタイルを取り上げる時に詳しく述べたいと思います)
まず、スーツ全体のバランスですが、肩巾や胸周りにゆとりのあるシルエットは威厳のあるスーツスタイルのポイントです。
次に、モノトーンという色調は他人にクールな印象を与えます。
もしあなたが、部下や取引先に“切れ者のリーダー”という印象を与えたい時には、ドン・コルレオーネを見習って、ゆったりとしたスーツをモノトーンでコーディネイトしてみてはいかがでしょうか。
もちろん、仕事に対する厳しい姿勢を忘れずに添えて…。
個人的な話になりますが、アル・パチーノの出演作で「セントオブウーマン」という有名な映画があります。
「ショーシャンクの空に」「ニューシネマパラダイス」と並ぶ私のBest3映画です。
お時間がおありの方は是非どうぞ。
この連載とは全く関係ありませんが(笑)オススメです!
<中部経済新聞 2009年5月16日>
世界の著名人から学ぶスーツスタイル第5回!ショーンコネリー氏
2009年5月17日 10:00
連載も第五回となりました、専務執筆の新聞コラム「世界の著名人から学ぶスーツスタイル」。
中部経済新聞に、隔週土曜日に掲載いただいております!
今回のテーマは「男らしさ」。
ショーン・コネリー氏のスタイルを、氏の代表作、007ジェームス・ボンドより読み解いております。
個人的にもファンで、近作の「リーグ オブ レジェンド」を楽しく観ました
シブくて、格好いいですよね!
著名人のスーツスタイルを語るうえで、どうしても外せない人物がいます。
それは007でジェームス・ボンド役を演じた俳優「ショーン・コネリー」です。
誰もが魅了され憧れる彼のスーツスタイルを、特に初期の頃のジェームス・ボンドのスタイルを中心に今回は取り上げたいと思います。
ショーン・コネリーの演じた初期のジェームス・ボンドのファッションは、現在でも賞賛の的となっています。
数々の著名ブランドのデザイナーがそのスーツスタイルを参考にしていることはファッション業界で広く知られています。
では、そのショーン・コネリーが演じるジェームス・ボンドのスーツスタイルとはどのようなものだったのでしょうか?
まず、スーツのシルエット、デザインは2つボタンでラペルは細く、ゴージラインは高くなっています。
肩巾や胸巾はややゆったりとしていますが、ウエストはシェイプされておりブリティッシュの雰囲気を感じさせます。
シャツは大きく開いたワイドカラーです。このようなシャツの襟の場合、通常の着こなしではネクタイの結び目を大きくするのですが、彼はあえて細く結んでいます。
分かりやすく言えば、やや広めの肩巾と胸巾のスーツにすることによって男性的な雰囲気=強さを表現し、細めのラペルとシェイプされたウエストがエレガントさを醸し出しているのです。
更にネクタイを細めに結ぶことで全体のバランスがとれています。
現在のトレンドではウエストのみではなく肩巾、胸巾もかなり細くしたスーツが中心です。
ただし、ある程度の社会的地位のある方には、あまりお薦めできません。
全体的にタイトなシルエットは、やや貧弱な印象を与えることがあるからです。
初期のジェームス・ボンドに見習って肩や胸回りにはある程度のゆとりのあるスーツを着られた方が良いでしょう。
ただしウエストをシェイプすることが大切です。
この連載でも何度か触れましたが、良い素材や良い仕立てのスーツ、気に入っているスーツをシルエットが古くなってしまったからといって捨ててしまうのは、本当にもったいないものです。
背の縫い目を全てほどき、シルエットを引きなおし、アイロンでラインを調整してからまた縫い直すという、しっかりとしたお直しをすればスーツは蘇ります。
ウエストをシェイプするお直しをしてはいかがでしょうか。
もちろん、新しいスーツに袖を通すのは気持ちの良いものですが…
最後に初期のジェームス・ボンドのスーツはサヴィルロウで仕立てられていたことに触れておきます。
時代が変わっても人々を魅了し続け、ファッション界に大きな影響を及ぼし続けるサヴィルロウのスーツとテーラー達に敬意を込めて、今回は筆を置きたいと思います。
<中部経済新聞 2009年5月2日掲載>
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神谷亜紀子
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(祝祭日の場合は営業いたします)
年末年始:12月31日-1月3日
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